関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

内山衛次・法学部教授による強制執行における執行債務者の給料債権の保護の研究

2022.04.07

個人研究 Individual Research

 関西学院大学図書館は昨年、データベース「The Making of Modern Law: Foreign Primary Sources」を導入した。このデータベースは、アメリカを除く、欧州各国(イギリス、ドイツ、フランス、他)の法典や、法典編纂関係資料、法典注釈書、制定法集等の一次法源約4,700冊を収録したデータベースである。これにより、イギリス、アイルランド、オランダ、フランス、ドイツ、オーストリア、スイス等の法典、法典編纂関係資料、法典注釈書、制定法集等、約2,000冊を利用可能となった。
 内山衛次・法学部教授は、強制執行において執行債務者の給料債権が差し押さえられた際に、わが国においても差押禁止最小限度額の規定を設けるべきであると考えている。現在、わが国では債務者の給料債権が差し押さえられた場合に、債務者の生活を保護するためにその4分の3を差押禁止としている。給料債権が少額な場合に、給料債権の4分の3を差押禁止としても生活が保護されない場合もある。
 わが国の強制執行に関する法は明治時代にドイツ法を模範として制定されたが、ドイツ法は立法当初から差押禁止最小限度額といって、債務者の給料債権がある一定の額にまで達していない場合はそのすべてを差押禁止としている。内山教授は、「わが国がなぜこの規定を導入しなかったのか」「導入することは困難であるのか」などを中心に研究している。そのためにも、そもそもどういう歴史的経緯でドイツ法にこの差押禁止最小限度額が導入されたのかを研究する必要があり、そのためにもこのデータベースは大いに役に立つものである。
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