関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

【齋木喜美子・教育学部・教授】が【『戦後沖縄史の諸相-何の隔てがあろうか』】を出版

2023.06.05

著書 Book

共同研究 Collaborative Research

その他 Others

齋木喜美子・教育学部・教授が、関西学院大学個人特別研究費の研究成果として、『戦後沖縄史の諸相-何の隔てがあろうか』(関西学院大学出版会)を2023年3月に出版しました。『戦後沖縄史の諸相』は、齋木教授が昨年刊行した編著書『立ち上がる艦砲の喰残し-沖縄における教育・文化の戦後復興』(関西学院大学出版会、2022年3月)の続編ともいうべき位置づけを持った書です。本書は4章構成で、昨年の成果を土台としながら、新たな研究関心をもとに第1章を神奈川大学経営学部・泉水英計・教授、第2章を齋木教授、第3章を沖縄県立芸術大学音楽学部・三島わかな・非常勤講師、第4章を熊本大学大学院教育学研究科・喜久山悟・教授が分担執筆しました。また本書を読むためのガイドを北海道大学大学院教育学研究院・近藤健一郎・教授が担当しています。本書は、研究対象とする中心的な時代を沖縄戦終結から米国統治期に置き、当時の沖縄の社会・文化の実相と課題を、近現代日本およびアメリカの政治的・社会的状況や文化を背景に読み解いています。そこで明らかになったのは、沖縄と本土、沖縄とアメリカ、あるいは沖縄の内部に潜むさまざまな「隔て」の存在でした。前半で取り扱った戦後沖縄の医療援助と戦争児童文学の歴史的展開過程、後半で取り扱ったある音楽教師と戦争未亡人のライフヒストリーに基づいた戦後文化復興と戦争の物語は一見関係のない課題のようでありながら、その背後に潜む「被侵略・被占領の沖縄近現代史」の諸相を具体的に追究した歴史書となっています。本書の刊行によって、近現代沖縄庶民史の研究が今後さらに深まることが期待されます。
 
 
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