赤松明・生命環境学部助教による植物グリセロ脂質によって制御される根粒菌感染抑制機構についての研究
Optimization of rhizobial infection regulated by phosphatidylinositol transfer protein
2022.05.08
個人研究 Individual Research
マメ科植物は他科の植物とは異なり、窒素固定細菌・根粒菌と相利共生を行うことで窒素源を得ることができます。この共生において、根粒菌の過剰な感染は宿主植物の生長を阻害します。そのため、マメ科植物は根粒菌感染(受入れ)システムと並列して、根粒着数最適化のための根粒菌感染抑制システムも有しています。これまで、根粒菌感染抑制には、宿主植物の地上部を介したAutoregulation of Nodulation (AON)システムが主導的な役割を担っていることが明らかにされてきました。本研究において、赤松明・生命環境学部助教らは、AONとは異なる根粒菌感染抑制システムが細胞膜グリセロ脂質によって制御されていることを明らかにしました。
本研究では、根粒菌感染時に発現量が上昇するPITP-like protein (PLP)遺伝子の機能欠損変異体において、根粒菌の感染が顕著に増加することを発見したことが研究のきっかけとなりました。PLPは細胞膜リン脂質であるフォスファチジルイノシトール(PI)輸送タンパク質をコードするため、PIの動態がAON根粒菌感染抑制システムに関与することが考えられました。しかしながら、遺伝子発現解析やAON機能欠損変異体との二重変異体の解析からはPLPの機能はAON非依存的であることが示されました。その一方で、遺伝子発現解析から、近年明らかにされつつある転写因子NINを介したローカルな根粒菌感染抑制システムをなかでPLPが機能することが明らかとなりました。
研究の開始時には、PLPは根粒菌の感染特異的に機能するものであると考えられていました。しかしながら興味深いことに、PLPは根粒菌以外の微生物に対しては、根粒菌に対する振る舞いと異った振る舞いをすることも明らかとなってきました。このことは、微生物が植物細胞に侵入するためにPIが重要な役割を果たしていることを示唆しています。赤松明・助教らは、今後の研究においてPIの細かな機能や、根粒共生がマメ科植物との間で成立した理由をPIに着目しながら明らかにしていく方針です。
本研究では、根粒菌感染時に発現量が上昇するPITP-like protein (PLP)遺伝子の機能欠損変異体において、根粒菌の感染が顕著に増加することを発見したことが研究のきっかけとなりました。PLPは細胞膜リン脂質であるフォスファチジルイノシトール(PI)輸送タンパク質をコードするため、PIの動態がAON根粒菌感染抑制システムに関与することが考えられました。しかしながら、遺伝子発現解析やAON機能欠損変異体との二重変異体の解析からはPLPの機能はAON非依存的であることが示されました。その一方で、遺伝子発現解析から、近年明らかにされつつある転写因子NINを介したローカルな根粒菌感染抑制システムをなかでPLPが機能することが明らかとなりました。
研究の開始時には、PLPは根粒菌の感染特異的に機能するものであると考えられていました。しかしながら興味深いことに、PLPは根粒菌以外の微生物に対しては、根粒菌に対する振る舞いと異った振る舞いをすることも明らかとなってきました。このことは、微生物が植物細胞に侵入するためにPIが重要な役割を果たしていることを示唆しています。赤松明・助教らは、今後の研究においてPIの細かな機能や、根粒共生がマメ科植物との間で成立した理由をPIに着目しながら明らかにしていく方針です。
In the mutualistic relationship between legumes and rhizobial bacteria, excessive rhizobia infection inhibits the growth of host plants. Therefore, legumes possess rhizobial inhibition systems in parallel with the system for receiving rhizobia. In Lotus japonicus, the Autoregulation of Nodulation (AON) system via the aboveground parts of the host plant has been shown to play an essential role in suppressing rhizobial infection. In this study, Dr. Akamatsu and his colleagues focused on PITP-like protein (PLP), which encodes a transport protein for phosphatidylinositol whose expression is up-regulated during rhizobial infection. This suggests that the PLP may be involved in the rhizobial suppression system. However, gene expression analysis and double mutant analysis showed that the function of PLP is AON-independent. On the other hand, gene expression analysis suggested that PLP is involved in the local suppression system through the transcription factor NIN, which has been recently revealed. They will clarify the detailed functions of PI and the reasons why rhizobial symbiosis was established with legumes, focusing on PI.
関連記事
- 2024.03.30
個人研究 Individual Research
-
赤松明・生命環境学部助教による植細胞内共生の制御する植物膜脂質機能の理解についての研究
Function of lipid membranes in bacterial endosymbiosis
back