関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

山田直子・法学部教授が国際捜査取調べ学会(iIIRG)の第13回大会で『虚栄の市』症候群(Vanity Fair Syndrome)をテーマに発表を行いました

2022.07.04

学会 Academic Conference

共同研究 Collaborative Research

学会出張 Business Trip

山田直子・法学部・教授が、2022年6月22~24日にイギリス・ウィンチェスターで開催された国際捜査取調べ学会第13回大会において、湖東記念病院事件を取り上げて「日本における『虚栄の市』症候群:犯罪者なき有罪判決」と題する口頭報告を行いました。
国際捜査取調べ学会は、世界各国の捜査機関から派遣された第一線で活躍している取調官や刑事法学、心理学、言語学その他の取調べに関する諸科学の研究者等が一堂に会し、確固たるエビデンス・ベースで捜査取調べのさらなる高度化を目指すことを目的として毎年開催されています。そこでは、国やそれぞれの立場を越えた活発で忌憚のない意見交換が行われており、学会参加者たちはそこで得た知見を持ち帰って自国の捜査取調べ改善に役立てています。
今回の国際捜査取調べ学会でも30カ国以上の国から対面だけで120名以上(オンライン参加者を含まず)の取調官・研究者が集まり、発表・討議が行われました。
本学会の大きな特徴として、参加者の半数が実際に捜査で取調べについて指導者的役割を担っている実務家であり、そうした立場から積極的・実践的・有益な報告が多数なされることが挙げられるでしょう。
本学会は、その設立趣旨からも明らかなように、各報告は、取調べ実務にとって重要な示唆を与えるものであることが(暗黙のうちに)要請されています。また、本学会が確固たるエビデンス・ベースでの捜査取調べの高度化を目的としていることから、いわゆる「ポジション・トーク」や「為(ため)にする議論」は全く存在しません。これは、報告者/質問者が実務家であれ研究者であれ変わりません。なぜなら、それらは参加者たちに何の利益ももたらさず、単なる時間の無駄とみなされるからです。一方で、「取調べ」が人権保障と実体的真実解明のせめぎ合う場であることは万国共通であるものの、これに対するアプローチが異なる国々の参加者同士がフロアーで激しく、かつ誠実に議論を深めていく真に印象深い様子が毎回見られることも大きな特徴であると言えるでしょう。
実務家からの良い報告が研究者を刺激し、研究者からの良い報告が実務家を刺激するという、良いスパイラルが生まれ続けているのが、この国際捜査取調べ学会です。
今回、山田教授が共同報告者とおこなった「日本における『虚栄の市』症候群:犯罪者なき有罪判決」と題する口頭報告は、参加者たちから、「ユーモアを交えつつ、取調官の無意識に焦点を当てた鋭い洞察に基づく意味深い報告であった」との非常に高い評価を得ました。
本学会での報告は今回で4回目となります。毎回参加するたびに新しい気づきが得られるほか、参加者同士のストレートな意見交換や質疑応答に触れることで、国内学会とは一味違う時間を堪能することができます。来年度は現在データ分析を行なっている取調べ研究の成果報告を行おうと計画しています。
 
プレゼンテーションではインターミディアリー(意思疎通困難者のための「仲介者」)が利用する方法を活用した。 プレゼンテーションではインターミディアリー(意思疎通困難者のための「仲介者」)が利用する方法を活用した。
プレゼンテーションではインターミディアリー(意思疎通困難者のための「仲介者」)が利用する方法を活用した。
レインボウフラッグが掲げられたウィンチェスター大学(iIIRG2022第13回大会の会場となった) レインボウフラッグが掲げられたウィンチェスター大学(iIIRG2022第13回大会の会場となった)
レインボウフラッグが掲げられたウィンチェスター大学(iIIRG2022第13回大会の会場となった)
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