研究成果報告 2020-2022年度大学共同研究費「けん玉の効果に関する学問横断的基礎研究」
2023.05.30
共同研究 Collaborative Research
關谷武司・国際学部教授が代表を務める2020-2022年度大学共同研究費「けん玉の効果に関する学問横断的基礎研究」では、心理学、理学、工学、運動生理学、身体教育学、開発協力学の観点から、けん玉の効果検証を実施しました。
片山順一・文学部教授は、䑓上雄太氏(当時博士課程前期課程)とともに、脳波を指標としてけん玉の効果を解明する可能性について検討するために、けん玉(モシカメ)実施中の被験者4名から脳波を記録しました。けん玉実施中には身体や視線の動きが多く、測定した脳波に多くのアーチファクト(ノイズ)が混入します。残念ながら、標準的なアーチファクト除去法ではこれらすべてを取り除くことはできず、新たなアーチファクト除去方法を探る必要があることが示されました。これが実現するまでにけん玉の効果を検討するためには、けん玉実施前後での課題実施中の脳波(や遂行成績)をコントロール条件と比較するのが良さそうです。
西谷滋人・理工学部教授は、視線追跡装置を用いて、けん玉をしている時の視線を追跡する技術を確立しました。これは、情報工学課程21年度卒業生の美並優希氏、井本皇己氏が中心となり、人間福祉学部の河鰭研究室の学生らとともに計測したものです。今回の計測はけん玉を初めて握った時と、少しできるようになった時との比較で有意な差は取り出せませんでしたが、安定した視線追跡を録画する技術が確立しました。上級者の技を撮影することで、初心者が上級者の視点から技を習得することが可能となり、けん玉の普及に役立つことが期待されます。
井村誠孝・理工学部教授は、けん玉トレーニングをバーチャルリアリティ(VR)を用いて行う際に、視覚だけではなく玉を持ち上げる際に生じる力を再現することを目的として、腕に力を提示する力覚提示システムの構築を行いました。研究は人間システム工学部22年度卒業生の柴谷俊成氏が中心となって実施されました。プレイヤーの動きを制限しない方法として、空気圧カフを前腕に装着し圧迫することで動きを制限して擬似的な重量提示を行う手法を開発しました。試作システムを構築し主観評価実験を行った結果、提示できる重量感は玉の重量に及ばなかったものの、腕を静止させた状態よりも上下に動かした時の方がより重く感じ、前腕を強く圧迫すると感じるという基礎特性が分かりました。
河鰭一彦・人間福祉学部教授の報告は、次の通りである。モシカメを採用した運動強度測定の被験者はけん玉検定1級程度の1名と初心者1名であった。代謝測定システムの呼気ガスマスクを装着した被験者は15分の椅座位安静後、10分間のモシカメを行った。モシカメ動作時酸素摂取量は両名とも安静時の約2倍となった。ここからモシカメ運動強度は約2METsと考えられストレッチと同程度であった。動作解析はモーションキャプチャー法を用い、被験者は1級程度1名と初心者1名であった。結果、1級程度は矢状面方向の前後動が少なく、初心者は前後動が大きくなっていた。また、上位者は引き上げた玉が手に近づくと、手関節の橈側外転を瞬時に起こすことが確認された。この動作を初心者は確認できなかった。
關谷教授は、研究協力者である江嵜那留穂・愛知淑徳大学講師とともに、ネパール・バクタプル郡に位置する私立学校4校を対象に、けん玉経験ありの子ども107名とけん玉経験なしの子ども94名の運動能力を測定し、両者の運動能力にはいかなる差異が見られるのかを分析した。棒反応、棒バランス、ピンポン球キャッチの3種目を実施し、両者の測定結果を比較したところ、棒反応(反応速度)においては大きな差異は見られなかったものの、棒バランスおよびピンポン球キャッチ(目と手の協応能力)においては統計的に有意差が確認された。
片山順一・文学部教授は、䑓上雄太氏(当時博士課程前期課程)とともに、脳波を指標としてけん玉の効果を解明する可能性について検討するために、けん玉(モシカメ)実施中の被験者4名から脳波を記録しました。けん玉実施中には身体や視線の動きが多く、測定した脳波に多くのアーチファクト(ノイズ)が混入します。残念ながら、標準的なアーチファクト除去法ではこれらすべてを取り除くことはできず、新たなアーチファクト除去方法を探る必要があることが示されました。これが実現するまでにけん玉の効果を検討するためには、けん玉実施前後での課題実施中の脳波(や遂行成績)をコントロール条件と比較するのが良さそうです。
西谷滋人・理工学部教授は、視線追跡装置を用いて、けん玉をしている時の視線を追跡する技術を確立しました。これは、情報工学課程21年度卒業生の美並優希氏、井本皇己氏が中心となり、人間福祉学部の河鰭研究室の学生らとともに計測したものです。今回の計測はけん玉を初めて握った時と、少しできるようになった時との比較で有意な差は取り出せませんでしたが、安定した視線追跡を録画する技術が確立しました。上級者の技を撮影することで、初心者が上級者の視点から技を習得することが可能となり、けん玉の普及に役立つことが期待されます。
井村誠孝・理工学部教授は、けん玉トレーニングをバーチャルリアリティ(VR)を用いて行う際に、視覚だけではなく玉を持ち上げる際に生じる力を再現することを目的として、腕に力を提示する力覚提示システムの構築を行いました。研究は人間システム工学部22年度卒業生の柴谷俊成氏が中心となって実施されました。プレイヤーの動きを制限しない方法として、空気圧カフを前腕に装着し圧迫することで動きを制限して擬似的な重量提示を行う手法を開発しました。試作システムを構築し主観評価実験を行った結果、提示できる重量感は玉の重量に及ばなかったものの、腕を静止させた状態よりも上下に動かした時の方がより重く感じ、前腕を強く圧迫すると感じるという基礎特性が分かりました。
河鰭一彦・人間福祉学部教授の報告は、次の通りである。モシカメを採用した運動強度測定の被験者はけん玉検定1級程度の1名と初心者1名であった。代謝測定システムの呼気ガスマスクを装着した被験者は15分の椅座位安静後、10分間のモシカメを行った。モシカメ動作時酸素摂取量は両名とも安静時の約2倍となった。ここからモシカメ運動強度は約2METsと考えられストレッチと同程度であった。動作解析はモーションキャプチャー法を用い、被験者は1級程度1名と初心者1名であった。結果、1級程度は矢状面方向の前後動が少なく、初心者は前後動が大きくなっていた。また、上位者は引き上げた玉が手に近づくと、手関節の橈側外転を瞬時に起こすことが確認された。この動作を初心者は確認できなかった。
關谷教授は、研究協力者である江嵜那留穂・愛知淑徳大学講師とともに、ネパール・バクタプル郡に位置する私立学校4校を対象に、けん玉経験ありの子ども107名とけん玉経験なしの子ども94名の運動能力を測定し、両者の運動能力にはいかなる差異が見られるのかを分析した。棒反応、棒バランス、ピンポン球キャッチの3種目を実施し、両者の測定結果を比較したところ、棒反応(反応速度)においては大きな差異は見られなかったものの、棒バランスおよびピンポン球キャッチ(目と手の協応能力)においては統計的に有意差が確認された。
back