関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

Optimal Non-linear Income Taxation and Non-Cooperative Behavior
Optimal Non-linear Income Taxation and Non-Cooperative Behavior

2023.06.07

個人研究 Individual Research

小川禎友(経済学部、教授)は、非協力的な家族関係下における最適非線形所得税を分析した。本研究が扱うモデルでは、家計内の非協力行動のために、家計内公共財は過少に供給される。従来の最適課税問題に家計内公共財の過少供給問題を取り入れ、税による超過負担と所得分配を考慮しながら、家計内公共財の過少供給を矯正する最適非線形所得税構造を明らかにした。また、家計内公共財生産のための家事・育児の代替財として、外部サービスを導入した拡張モデルにおいても最適課税分析を行った。主な結果は以下の通りである。
・最適非線形所得税公式は、Mirrlees(1971)によって導出された税の歪みや分配を考慮する項と、家計内公共財過少供給の矯正効果を示すピグー項から表現される。
・家計内公共財の過少供給を矯正する役割が所得税に課された場合には、そうでない場合と比べて、各所得階層で所得税の限界税率が高くなる。
・最も高い能力を持つ個人に対する限界税率はゼロではない。
・外部サービスへの租税介入が可能である場合には、補助金が望ましい。この場合、所得税は所得分配を、外部サービスへの補助金は家計内公共財の過少供給を矯正するように課される。
We analyze optimal nonlinear income taxation under noncooperative behavior. In the model, intra-household public goods are underprovided due to intrahousehold noncooperative behavior. We also extend the model by introducing external services as substitutes for housework.
 
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