関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

清水陽子・建築学部教授による中国空き家調査報告

2025.03.25

個人研究 Individual Research

江西省金渓県の農村における居住実態を調査し、伝統的工法による住宅の空き家や、改修、建て替えの現状を把握しました。調査は村全体の悉皆調査を行い、1軒ずつ目視と地域住民の協力も仰ぎながら居住状況を把握しました。また、住民への聞き取り調査から、伝統的工法による住宅の放置されている状況や保全の必要性、課題が明らかになりました。
伝統的工法による住宅は現在の居住ニーズに合わず、改修や建て替えが進んでいました。しかし、これらは地域の住文化を伝える貴重な資源です。伝統的工法による空き家の一部は政府により収用されていますが、保全措置などが取られているものは少なく、収用を示す看板のみが取り付けられ放置されているものもありました。中国の農村の土地に関する法制度は複雑であり、土地の所有権、建物の資格権、使用権などが絡み合っています。空き家対策においてはこれらの制度を踏まえ、地域住民に保全や活用を促せるような施策の検討が必要となります。
現地では江西師範大学の教員との意見交換も行い、中国における都市計画や地域保全の現状と課題を共有し、今後の研究協力の可能性を確認しました。
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