國枝卓真・経済学部教授が24th Annual SAET Conference in Ischia, Italyで''The Green Revolution, Structural Transformation, and Economic Development via Market Mechanisms" をテーマに発表を行いました
2025.07.07
学会 Academic Conference
学会出張 Business Trip
本研究は、市場メカニズムと価格調整が経済の構造変化と経済発展の推進において果たした役割を、緑の革命の影響に焦点を当てて実証的に検証したものである。分析の方法としては、均衡市場価格に関するマクロ経済理論の知見に基づき、シフトシェア(Bartik)操作変数を注意深く選択することにより相対価格の内生性の問題を解決したところに新規性がある。実証分析の結果、緑の革命は農業生産性を大幅に向上させ、作物価格を低下させ、摩擦のない市場においては農業部門から非農業部門への労働力の再配分を促進したことが明らかになった。しかし、市場の不完全性や価格の歪みのある経済では、市場の効率性が悪化し緑の革命の経済的便益を減殺する。緑の革命は農業生産性の向上と経済発展を促進する原動力となったが、その潜在能力を最大限に発揮するには市場メカニズムが適切に機能しなければならなかった。本研究の結果は、農業イノベーションによる果実を最大化するためには、市場メカニズムがより良く機能するような制度改革が必要であるということを示唆している。
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