関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

亀田啓悟・総合政策学部教授他の復興政策に関する研究が国際学術誌に掲載されました

2020.11.27

論文 Article

亀田啓悟総合政策学部教授・巳波弘佳理工学部教授・長峯純一総合政策学部教授による東日本大震災後の労働市場に関する研究、

Effects of Reconstruction Works on Private Employment after a Natural Disaster: A Case in the Stricken Area of the Great East Japan Earthquake

が自然災害分野での国際的なトップジャーナルInternational Journal of Disaster Risk Reductionに掲載されました。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2212420920314709?via%3Dihub

この研究は、被災地で生じた人手不足問題をウェブスクレイピング技術を使って収集したマイクロデータによって分析し、被災地での建設業求人1%の増加が民間求人充足確率を他地域より17%も多く下落させることを明らかにしたものです。この分析結果に基づき、教授らは、「復興政策を考える際には、復興労働需要を満たし得る労働参加を促す政策もその一部に位置付ける必要がある」と主張しています。

復興事業の副作用に焦点を当てた研究は過去に例がなく、また、ウェブスクレイピング技術を用いた経済分析もまだ端緒についたばかりで、この両方の意味で貴重な研究といえます。また、災害経済学のみならず、労働経済学、マクロ経済学に対する学術的貢献も大きく、今後の展開が期待されます。

本研究は、東日本大震災の被災地(気仙沼市)の復興計画策定委員も務めた長峯教授の知見と、巳波教授の持つ情報科学技術を、亀田教授が統計手法を用いてまとめたもので、文理横断型キャンパスであるKSC(神戸三田キャンパス)の良さが出た、新しいタイプの研究です。

こうした異分野融合に基づく研究は近年の世界的な潮流でもあり、KSCの新たな展開に大きな期待が寄せられます。

なお、本研究は科学研究費補助金:基盤研究(B)(代表:長峯純一)の資金援助を受けています。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15H03356/
戻る
back