徳山豪・理工学部教授が情報処理学会より2020年度コンピュータサイエンス領域功績賞を受賞
2021.03.19
受賞 Award
徳山豪教授(理工学部情報科学科)が情報処理学会より2020年度コンピュータサイエンス(CS)領域功績賞を受賞しました。この賞は,CS領域の研究会分野において,優秀な研究・技術開発,人材育成,および研究会・研究会運営に貢献したなど,顕著な功績のあったものに贈呈されます.
推薦理由は下記のものです。授賞式は2021年5月7~8日開催 アルゴリズム研究発表会(広島大学)にて開催予定です。[推薦理由]
本会正会員徳山豪氏(フェロー)は,企業(日本IBM東京基礎研究所,1986-1999)と大学でのキャリアを通じて,アルゴリズムと計算の理論と応用における先端的な研究により,CS領域の推進を行った.学会においては,本会のアルゴリズム研究会主査,電子情報通信学会コンピュテーション研究会委員長,学術会議会員などを務めている.また,計算幾何学分野の4つの国際専門誌すべてでエディタを務めている.
CS領域功績賞の推薦理由は「アルゴリズムと計算理論の国際的な研究コミュニティーの構築と発展」である.徳山氏は国際学会ISAAC(International Symposium on Algorithms and Computation)の運営委員長を2009年から10年間務める等,日本のみならずアジア全体のリーダーとして,国際的な計算理論の研究コミュニティーの構築と発展に貢献を行っている.人材育成においては,東北大学データ科学国際大学院の設立責任者を務めるなど,企業と大学の双方において優れた研究者とデータサイエンティストを育成している.また,「ビッグデータ基盤(CREST,さきがけ)」,「数理情報活用領域(さきがけ)」の領域アドバイザーを務めている.
研究プロジェクトの推進においても,文科省創造的ソフトウエア事業「データマイニング:知識獲得機能付きデータベースの構築」の技術責任者,「新世代の計算限界」新学術領域,「多角的アプロ—チの統合による計算限界解明」新学術領域,「河原林巨大グラフERATO」,「実社会ビッグデータのためのデータ統合・解析技術の研究開発」(文科省),「ImPACTタフ・ロボティクス・チャレンジ」のグループリーダーを務める等の貢献している.
研究業績では,日本IBM科学賞,船井情報科学振興賞,ISAAC最優秀論文賞,本会研究賞,ベストオーサー賞などを受賞し,計算理論分野の4つのトップ国際会議(STOC, FOCS, SODA, SoCG)で25件の成果発表を行うなど,日本の計算理論の国際レベルを支えてきた.特に計算幾何学分野では,幾何学最適化,デジタル幾何,組合せ幾何学などで独創的な成果を挙げ,それらをデータマイニング,統計解析,画像処理,地理情報処理などへの応用に展開している.応用の中でも,データマイニングへの計算幾何の導入は,SIGMOD, PODS, VLDB, KDD などで発表され,広く利活用されている.これは,日本におけるデータマイニングの研究分野開拓とともに,世界的にアルゴリズム理論の研究者のデータマイニング分野への参入の先駆けになった.
以上のように,徳山氏のアルゴリズムと計算理論の国際的な研究コミュニティーの構築と発展への貢献は高く,CS領域功績賞に値すると考え,推薦いたします.
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