武藤祥教授(法学部)が研究代表者を務める研究プロジェクト「自由民主主義の『裏面史』－非・自由民主主義の多様性と正統性の解明」が、日本学術振興会科学研究費補助金・基盤研究(A)を獲得した。
　現在、世界的に進む「権威主義化」に対して、既存研究は欧米の自由民主主義を引照基準にした考察にとどまっている。こうした状況に対し、自由民主主義の「裏面」として扱われてきた、「非・自由民主主義」の多様性・正統性を正面から解明する作業が必要である。
本研究は、①自由民主主義とは相容れない政治体制・思想・運動(「非・自由民主主義」)の多様性と正統性を明らかにし、②それらを統一的な視座から理解するための、理論・実証を包摂する新たな分析枠組を提示する。
　そのため本研究は、現代比較政治、政治史、政治理論・政治思想史の3分野からアプローチし、さらに理論研究と実証研究、歴史研究と現代研究、欧米研究と非欧米研究を接合させた視座から研究を進める。幅広い領域の第一線で活躍する15名のメンバーからなる本研究プロジェクトは、自由民主主義の普遍性を相対化しつつ、その「裏面」を再検討することで、現在の権威主義化、自由民主主義の危機の歴史的位相が解明されることが期待される。