関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

研究成果報告 2022-2023年度大学共同研究費「メディア利用がもたらす効果測定の精緻化」

2024.04.05

共同研究 Collaborative Research

稲増一憲・社会学部元教授が代表を務めた2022-2023年度大学共同研究費「メディア利用がもたらす効果測定の精緻化」では、メディア利用が影響を及ぼすと考えられる態度・認知の測定方法を精緻化することにより、メディア効果研究の新たな発展を目指しました。
 
まず、態度測定においては心理学で一般的なリッカート式尺度を用いるのではなく、2つの社会的な意見を提示し、自身の意見により近いものを選択させる一対比較法を用いて、態度を測定する手法を開発しました。これによって中点バイアスなどの反応バイアスや社会的望ましさバイアスを取り除くとともに、公理的測定論に基づき、測定の原理を明確化しました。
 
そして、メディア利用が影響を与えうる新たな変数として、「常民性」「自身をエリートや富裕層と庶民感覚」「政治と関わる資格」「多次元オンライン脱抑制尺度」といった尺度・変数を開発し、その妥当性を検証しました。
 
加えて、メディア利用が知覚・認知処理過程にどのように影響するかを明らかにするための基礎的な実験として、参加者に画面に表示された写真を用いて人物の印象判断を行わせる課題が設定されました。その結果、人物から受ける印象と背景のもつ感情価が一致しない場合、信頼性判断を行う際のマウスカーソルの軌跡が湾曲することが明らかになりました。このマウスカーソルのトラッキングにより、他者に対する印象判断の無意識的過程を測定することが可能になりました。
 
さらには、2023年度末をもって終了した社会心理学研究センターの活動の一貫として、澤幸祐氏(専修大学)、黒田起吏氏(東京大学)、難波修史氏(理化学研究所)、村山綾氏(近畿大学)、岩谷舟真氏(東京大学)を招聘し(所属はすべて当時のもの)、講演を行っていただきました。これにより、本プロジェクトに関わる研究の学際的な発展可能性が示されました。
 
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