関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

田中大輔・理工学部准教授らの研究グループが、マイクロ流路を利用して金属-有機構造体(MOF)の生成メカニズムを解明することに成功し、論文が総合化学誌「Chemistry - A European Journal」(7月22日発行)に掲載されました。

2020.08.08

論文 Article

共同研究 Collaborative Research

マスコミ Media Appearance

田中大輔・理工学部准教授らの共同研究グループが、マイクロ流路を利用して金属-有機構造体(MOF)の生成メカニズムを解明することに成功し、論文「Competing Roles of Two Kinds of Ligand during Nonclassical Crystallization of Pillared-Layer Metal-Organic Frameworks Elucidated Using Microfluidic Systems(マイクロ流路によって解明されたピラードレイヤー型金属有機構造体の非古典的結晶生成過程における二種類の配位子の競合する役割)」が7月22日発行の総合化学誌「Chemistry - A European Journal」に掲載されました(オンライン版には7月11日に掲載)。また、研究成果は、8月6日の日刊工業新聞でも紹介されました。

活性炭やゼオライトなどの材料は、分子を取り込むことが可能な多数の小さな穴があることから、多孔性材料と呼ばれ、脱水や脱臭など身の回りに使われています。近年、金属イオンと架橋配位子注2から構成されるMOFと呼ばれる多孔性材料が活発に研究されています。MOFは金属と架橋配位子の組み合わせによって、目的に応じた構造を自由に設計できることから、その他の多孔性材料と同じように、吸着材、触媒、電池の電極材料など幅広い分野への応用が期待されています。
本研究グループは今回、2種類の配位子と1種類の金属から構成されるピラードレイヤー型MOFの生成メカニズムを、マイクロ流路を用いた合成と測定から解明しました。特に、大型放射光施設SPring-8注3の高輝度X線によるX線吸収微細構造(XAFS)注4とマイクロ流路を組み合わせた測定手法を新しく開発したことによって、これまでに評価することができなかった反応のごく初期の状態を評価することに成功しました。
種々の実験から、結晶生成過程が3段階で進行すること、また原料に使われる2種類の配位子はそれぞれ結晶生成を促進、抑制するという、相反する働きを有していることも解明されました。これらの知見は、新たな多孔性材料などの結晶性分子材料開発の指針になると期待されます。
 
雑誌名:総合化学誌「Chemistry - A European Journal」
論文タイトル:Competing Roles of Two Kinds of Ligand during Nonclassical Crystallization of Pillared-Layer Metal-Organic Frameworks Elucidated Using Microfluidic Systems(和訳:マイクロ流路によって解明されたピラードレイヤー型金属有機構造体の非古典的結晶生成過程における二種類の配位子の競合する役割)
著者:Yoko Tanaka, Yu Kitamura, Ryuji Kawano, Kan Shoji, Moe Hiratani, Tetsuo Honma, Hikaru Takaya, Hirofumi Yoshikawa, Takaaki Tsuruoka, Daisuke Tanaka
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