関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

佐藤英俊・生命医科学科教授が「ヒト感染性ウイルスのリアルタイム検出を可能とする多変量解析技術の開発」の研究を行いました
Hidetoshi Sato made developmental study on chemometrics technique for realtime sensing of human infectious viruses

2025.05.20

個人研究 Individual Research

Covid-19のパンデミックはヒトの健康だけで無く社会や経済を毀損している。国際的に人が頻繁に行き交う現代では、新型インフルエンザ、デング熱、エボラ出血熱など、病原性ウイルスの広範囲なパンデミックに対する不安が非常に大きくなっている。我々は、パンデミックを阻止できるほど迅速に、かつヒトが感染する前に環境中のヒト感染性ウイルスを検出することを目指し、技術開発を進めてきた。一般的にウイルスは種特異性が高く、ヒト感染性ウイルスを,動物を用いて検出することは難しい。従って、ヒトが感染する前にヒト感染性ウイルスを検出するためには、何らかの方法で空気中に浮遊するヒト感染性ウイルスを収集し、検出/判別する。例えば飛行機の中などの閉塞空間で利用できる技術が必要である。我々はラマン分光分析で生きた細胞内のウイルス感染による分子変化を分析し、感染後3時間でウイルス感染を検出することに成功している。
本研究で我々は検出時間の短縮に成功し、空気浮遊ウイルス収集装置の試作機を開発した。従来、細胞や装置の安定化や作業のため、ウイルス投入後3時間目から測定が可能であった。我々はこれらの準備を効率化して短縮することにより、ウイルス分散液の細胞注入後、2時間での分析に成功した。2時間でも多くの細胞がスペクトル変化を示しており、分子組成の変化は感染後2時間でも起きうることを示している。一方、空気浮遊ウイルス収集装置の開発には、いくつかの課題があった。空気中のウイルスをモニタリングするためには、装置を連続的に運転し、空気中のウイルスを集めた液を培養液に混ぜて、細胞に供給し続ける必要がある。従って、ウイルスを収集して濃縮する液体は、ウイルスの活性を保ちながら混合後の培養液の性質を変えないものにしなければならない。我々はウイルス分散溶液を開発し、培養液との混合と細胞の安定的な培養に成功した。
これらの開発結果は、複数の学術論文での発表と、知的財産化を予定しており、研究開発を続けている。
The pandemic of Covid-19 ensured the human society and economy into confusion deeply. In the world nowadays that people travel around all over the world. We are developing a technique to detect human infectious virus selectively in environment, which is enough quick to prevent for any human to get infection with them. In our previous study, we have succeeded to detect the virus invasion in a human cell within 3 hours by using Raman spectroscopy.
In the present study, the detection time is reduced to be only 2 hours after the virus infection in a live cell. A test model of the virus collection system has been developed. One of difficult problems for driving the test model system was a viral collection liquid. We have successfully conducted the development of the collection liquid and the cellular culturing medium for blending.
We are working on a publishing our results in journals and apply for patents.
 

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