関西学院大学 研究活動情報

Kwansei Gakuin University Research Activities

片山順一・文学部教授らによる多感覚VRシミュレーションシステムを用いた研究

2022.05.30

個人研究 Individual Research

 片山順一・文学部教授、伊藤友一・文学部助教、大竹恵子・文学部教授、一言英文・文学部准教授のグループが、2021年度の研究装置・設備購入制度により心理科学研究室に「多感覚VRシミュレーションシステム」を導入しました。このシステムは、記憶の形成過程における身体感覚同期の役割解明のために使用されます。
 VR(virtual reality)空間内で経験される出来事についての記憶は、VR空間での視界に自身の身体の一部(腕)が出現する場合に促進されることが知られています(Brechet et al., 2019)。この現象は、VR空間内で現実の視界に近い状態を再現したことによって、VR空間内での事象をより没入的に体験したために生じると考えられています。このことは、VR空間で経験される出来事のみならず、日常的な記憶の獲得においても自己の身体感覚と他の知覚的なフィードバック(視覚や聴覚情報など)の同期が重要である可能性を示唆しています。「多感覚VRシミュレーションシステム」を使って、歩行に伴う身体感覚と視覚の同期状態・非同期状態を作り出すことで、記憶の形成過程における身体感覚の役割解明を目指します。将来的には、様々な生理指標と組み合わせて、VR体験中の身体同期や没入感が学習や記憶形成にどのように影響するかを検討することで、VRを使った教育や臨床、コミュニケーション場面への貢献も期待されます。

 
多感覚VRシミュレーションシステム 多感覚VRシミュレーションシステム
多感覚VRシミュレーションシステム
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